川口市のアルファリペアのブログ
2025年9月19日
1. 原状回復の基本概念
原状回復とは、
「借主が借りた当初の状態に戻すこと」
ではなく、
「通常の使用による損耗や経年劣化を除き、借主が故意・過失、または不適切な使用によって生じた損耗・破損を修繕すること」
を意味します。
ポイント
通常損耗・経年劣化は貸主負担
例:日焼けによる壁紙の変色、家具設置による床の凹みなど
借主の過失や故意による損耗は借主負担
例:タバコのヤニ汚れ、落書き、ペットによる破損など
2. 原状回復費用の主な対象項目
以下は一般的に費用負担が発生しやすい項目です。
項目 借主負担になりやすい例 貸主負担になりやすい例
壁紙(クロス) タバコのヤニ汚れ、落書き、穴あけ(大きいもの) 日焼け、軽微な画びょう跡
床(フローリング) 重い物を落としてできたへこみ、こぼした液体でのシミ 家具跡、通常の歩行による摩耗
畳・カーペット ペットの尿シミ、焦げ跡 日焼け、経年劣化
設備(キッチン、浴室等) 掃除不足でのカビ、油汚れ、破損 通常使用での水垢、パッキンの劣化
鍵交換 紛失、盗難、破損 入居者交代によるセキュリティ目的(貸主負担が多い)
3. 費用の計算方法
壁紙の例
壁紙は6年で価値が1円になるという国交省ガイドラインが目安です。
たとえば、入居3年で全面張り替え費用が6万円の場合:
6万円 × (6年 − 3年)/ 6年 = 3万円
つまり借主負担は3万円になります。
4. よくあるトラブル
トラブル事例
全体張り替え請求
一部だけ汚した場合でも、貸主が「全体を張り替えるから全額負担して」と請求するケース
→ 借主は「汚れた部分のみ負担」が原則
通常損耗を借主負担にされる
家具跡や日焼けなど、本来貸主負担であるものを請求されるケース
ハウスクリーニング代の全額請求
契約書で特約がない限り、通常は貸主負担
5. 契約書確認の重要性
トラブルを避けるためには契約書の特約条項を必ず確認しましょう。
特約で有効な条件
借主に不利益であっても、明確かつ具体的に記載されていること
借主が自由意思で合意していること
例:
「退去時にハウスクリーニング代として2万円を負担する」
6. トラブル防止のポイント
入居時に写真撮影
傷や汚れの記録を残すことで、退去時の証明に
契約書・重要事項説明書を確認
特約があるかチェック
退去立会い時に必ず確認
修繕箇所と費用の内訳をその場で確認
納得できなければ消費生活センターへ相談
まとめ
通常使用による経年劣化は貸主負担
借主が負担するのは故意・過失による損耗のみ
ガイドラインを基準に費用を算定
契約書の特約条項に注意
トラブル時は証拠を残して相談機関へ
店長:井上善嗣
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