日進市の伊藤リペアーのブログ
2024年4月23日
ドアに穴が空いてしまった。。
この様なことでお困りの方もお見えになるかと思います。
原因は、掃除機が当たった。。おもちゃなどが当たった。。パンチやキックなど様々です。
ドアの多くは内部が空洞になっているため表面の板が衝撃により割れてしまうのです。
表面の板は3㍉程度の厚みがあることが多いのですが、
「結構、簡単に割れてしまった。」との感想をお話しされるお客様もお見えになります。
板の厚みを増したり、ドア内部の空洞を無くしたりすれば、強度の高いドアになりそうですが、
デメリットとして ”重くなってしまう” ということが起こります。
物流面や組み付け時の作業性、取り付け金具への負担などの面で悪影響があり、問題解決のためにはコストがかさみます。
軽いドアは、利点が大きいため普及しているという事情は無視できません。
さて、このドアの弱点が現れる現象のひとつが”ドアの割れ”なのですが、どのように修復しているのでしょうか?
掲載の写真はドアの修復工程を撮影したものですが
①割れたドアの損傷部分を確認して
②損傷部の切り外し
③穴を塞ぐ板の取り付け
④表面の平ら成形
⑤塗装色合わせ
⑥木目模様などの描き込み
⑦クリア保護塗装
伊藤リペアーでは、以上の工程で修復しています。
ドア内部に補強材を取り付けて強度を増すことも可能です。
これらの工程はリペア業界で統一されている訳ではなく、業者毎に手順や材料を工夫しているという実態もあります。
状況により工程に変化を加えることもあり
例えば、ご紹介の2の工程を行なわない業者もあれば、
行なわなくて良いドアや割れの状態も存在します。
今回は①と②の工程についてお話ししようと思います。
ドアの割れは外側からの衝撃で起こりますが、この時、板の表面よりも裏側に大きな裂け目が入ることがあります。
裏側は実際に中を調べないと判らないのですが、
損傷のある板は強度が無くなるのと同時に、折れ曲がるなどの歪みが発生しています。
この歪みが修復作業の大敵で、歪みを残したままリペアすると、
後日、補修部分に亀裂が入ったりすることがあります。
試験的に損傷部を切り外さず出来る限り活かしたままパテ成形して仕上げたサンプルに、後日、表面の歪みが発生したということがありました。
木質素材は湿度・温度などに敏感に反応して膨張と収縮を繰り返します。この時に、折れなどの歪みを残しておくと補修材を破壊するほどバネのように動く場合があるのです。
そのため
①の工程で出来るだけその危険性を少なくするように切り離す部分を選定し
②の工程で切り外しを行ないドア板に発生している歪みの圧力を取り除くのです。
ドア板の素材により性質が変わりますので慎重に判断しながら作業致します。
今回のお話は、板の切り外しについてのご説明でした。
次回は、③の穴を塞ぐ工程についてお話しいたします。
店長:伊藤公一
愛知県の修復専門店 お家のキズを修復士が丁寧にお直し致します。
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