川越市の長尾アートガーデンのブログ
2025年8月16日
今週は作業を進めながらも、お盆休みをいただいております。
妻の母の出身地埼玉県比企郡小川町にて毎年組み立てている盆棚を前にすると、季節の巡りや文化の継承について、改めて考えさせられます。
田舎に行くほどしっかりと残っている風習ですが、私自身の実家(東京23区)でも、お盆の時はナスに串を刺したり、線香を炊いたりと、ささやかにお盆らしい時間を過ごしていました。
昨年のお盆がつい先日のことのように感じますが、親戚の子供たちは目に見えて成長し、親世代はさらに歳を重ね、自分自身もまた年月を積み重ねています。
「あっという間に過ぎてしまう日々で良いのだろうか」と思う瞬間もありますが、振り返れば確かに自分の仕事の技術も磨かれ、サービスの質も少しずつレベルアップできていると実感します。
そして今年のお盆は、ひとつ新しいサービスをご紹介できるようになりました。
それが 「ウッドストーリ」 です。
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木に宿る思い出
木工製品というのは、毎日必ず手にするものではありません。
けれども、ふと目にしたとき、手に取ったときに、その木の肌触りやほのかな香りから、思い出がよみがえることがあります。
私自身、10代の頃に母を交通事故で亡くしました。あまりにも突然の出来事で、受け止めるのに本当に長い年月がかかりました。母のことは大好きで、今でも忘れることはありません。
実家の庭には、母と一緒に作ったぶどう棚がありました。
コンクリートブロックにセメントを詰め、母が一生懸命作業する横で、私も見よう見まねで手伝った光景が鮮明に残っています。
庭には母が大切にしていた月桂樹もありました。大きくなりすぎて、私自身が伐らざるを得なかったのですが、そのとき「せめて小さな一部でも残しておければ、母が好きだったこの木を、自分も大切に受け継げたのに」と思ったものです。
木は声を出すわけでもなく、動物のように甘えてくるわけでもありません。
それでも確かにそこに生き、人と時間を共有し、やがて材木となれば、状態が良ければ何十年、何百年と残り続けます。
だからこそ「木を残す」ということは、
単なる資材利用ではなく、人の思いを未来へつなぐことだと感じています。
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ウッドストーリーとは
「ウッドストーリー」は、思い出の木を伐採したあと、その材を暮らしの中で寄り添う工芸品に生まれ変わらせるサービスです。
木は長い年月をかけてそこに佇み、人の営みを見守ってきました。やがて役目を終えても、燃料や資材として再び役立つことができます。
しかし「ウッドストーリー」では、さらにその一部を残し、暮らしに馴染む木工品へと仕立てることで、木の記憶を未来へ受け渡していきます。
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どんな製品になるのか
「ウッドストーリー」でお作りできる製品の一例です。
• カスタネット・スクエア型木片(防腐処理済 )
日常に使いやすく、木目を楽しめるアイテム。
• 花立てやペン立て
小さな空間に思い出をそっと添える存在。
• 記念プレートや小物入れ
手に取るたびに心を和ませてくれる一品。
いずれも一点もの。木の持つ表情や歴史をそのままに活かし、日常の中でやさしく寄り添います。
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木が語り継ぐ物語
木は時代の空気を取り込み、静かに佇み、やがて役目を終えても形を変えて生き続けます。
その一部を家の中でそっと残すことで、思い出が時間を超えて支えとなり、技術や想いもまた受け継がれていきます。
「ウッドストーリー」には、そんな願いを込めています。
大切な木をただ伐るだけでなく、未来に思い出をつなぐ形として残す。
それが、私たち長尾アートガーデンの新しい取り組みです。
店長:長尾 崇史
頼れる植木屋「長尾アートガーデン」他店で対応できない樹木もお任せください!
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