横浜市青葉区のなすのきものと着付け教室のブログ
2023年11月8日
きものを着る事には「自装」と「他装」があります。
「自装」は自分で、自分の着付けを行うこと。
「他装」は他人の着付けをすること。
よく似てるけど、実際にどちらもやってみると、全然違う気がします。
まず「自装」ですが、自分の身体に「まとわりつける」感じで着ていきます。
最終ゴールの着姿をまずはイメージして、でこぼこしている身体にまっすぐに裁断されて仕立てられたきものをくっつけていきます。
洋服の場合は正面にポイントがありますが、きものの柄は前と後ろにあるので、常にポイントは前にも後ろにもあるんですよね。どっちかだけ、ではないので、後ろも前も美しく整える必要があるんですね。
特に、帯の柄のポイントは後ろです。後ろでどのように柄を出すのか、大きさはどうするのか、自分の身体を隠す場所、見せる場所はどこなのかを考えながら結びます。
自分で帯を結ぶのは、身体の柔らかさと手先の繊細さと、呼吸が必要になります。わりと良い運動だし、自分の肩や背中の柔らかさを保てます。
洋服のようにあらかじめできあがっているものに、体が入るわけではないし、ボタンやゴムやファスナーで止められるものが着るものにくっついているわけではなく、全て紐で自分でくくっていくので自分の身体のコンディションを考えながら紐を結ぶときの強さや、素材、太さを加減していきます。
紐を身体に巻き付けるに当たっては深呼吸が必要です。人はいつも呼吸しているので、呼吸を妨げるような紐の設定だと苦しくなるからです。
身体の呼吸の浮き沈みと結ばれた紐がゆるもうとする弾力性を上手に利用して着崩れを防いでるんですね。
きものを着る数十分は自分の身体と向き合う時間です。ちょっとしたエクササイズでもあります。なので、着付けするときの部屋の設定温度は22度。着付けをしていると、じんわりと身体が熱くなってきます。
「自装」の場合は自分のことなので、自分の身体具合や呼吸、骨の位置を把握出来ますが、「他装」の場合はなかなかそうはいきません。また、商売として「他装」をしている場合、着せた後、着せた方がきものを脱ぐまでは、その方がどのような行動をされるのか細部まで予想するのが不可能な上に、途中でちょいと直して差し上げる、と言うことができないので「クレーム」が来ることを恐れて、紐を何本も使って、ぎゅうぎゅうに縛ったりするんですね。それが「苦しかった」「二度ときものを着たくない」というトラウマになって残ったりする方もいらっしゃる。それは、とてもさみしいなあと思います。
とはいえ「他装」の基本は、「自装」の着付けのように思います。「他装」ありきでは無く、「自装」ありきといいましょう。「自装」を意識して、身体に極端な負荷を掛けるような着装はしないほうが、着る肩の負担を防げるんじゃないかな?と最近思うようになりました。
私もトルソー相手に練習はします。いかにきれいに見せるか、と言うことを意識して着せます。シワがないか、丈は良いか、柄の出方は良いかと言うことに集中します。でも、それは見た目だけの問題の解決にしかならない気がします。
きものを着ると言うことはもしかしたら、洋服よりも前も後ろも「人にみてもらう」とこなのかもしれないけれど、それでも、着ている方の身体の負担にならない、その方の身体の形に合うような着付けができるように日々練習とイメージトレーニングが大事だなと思っています。
成人式当日は午後から着付けの枠がまだ空いています。お問い合わせください。七五三のお子様、お母様の着付け受付中です。
店長:那須朝美
太らない補正と、着ていて疲れない着付け
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