いわき市の総合サービス eプランのブログ
2026年5月15日
俺は旅するお掃除マン。
呼ばれれば日本全国どこへでも飛んでいき、掃除を通じて各地の人と出会い、ご当地グルメを楽しむ──それが生きがいだ。
そう、人よんでさすらいの掃除師。
本日のご依頼は、都内某所――閑静な住宅街に佇む一軒家。
内容はというと、
水回りクリーニングに加え、エアコンクリーニング5台。
さらに「あれもこれも」と追加オーダー盛り盛り。
長年この仕事をやっているとわかる。
こういう注文の仕方をする現場は、
だいたい、とっ散らかっている。
そして俺の脳内危険センサーが鳴り響く。
「危険。危険。敵は高確率でゴミ屋敷」
経験上、九分九厘そうだ。
後悔は先に立たない。
こういう時は安全措置として2人体制を取る。
まさに安全第一である。
ところが、予定3日前。
補助要員のスタッフがまさかの体調不良で検査入院。
他スタッフも予約パンパンで回せない。
別班が近くなら応援も可能だが、なぜか全班、仙台方面。
都内に俺一人取り残される形となった。
どうしたものかと頭を抱えていたその時。
幸か不幸か、
その翌日の予約が先方都合でキャンセル。
その瞬間、閃いた。
「この現場、翌日を予備日にすればいい」
万が一ワンオペで終わらなければ、
連続作業に持ち込めばいいのだ。
天才か。
早速お客様へ連絡。
すると奥様、
「あら、大丈夫ですよ〜」
と、あっさり了承。
こうして俺は単身、
都内某所の閑静な住宅街に潜むであろうゴミ屋敷へ向かう事となった。
そして当日の朝。
小鳥たちのさえずり。
柔らかな朝日。
世界は平和そのもの。
なのに俺は今から約1時間半かけて戦場へ向かう。
たったひとりで…
自然と涙が溢れ出る。
生きて帰れる保証はない。
さようならみんな。
もし帰還できたなら、また飯でも食いに行こう。
そんな覚悟を胸に車を走らせ、
ついに現場へ到着。
……おかしい。
外観が綺麗すぎる。
ガレージも整頓され、
柵越しに見える庭まで美しい。
逆に怪しい。
これはカモフラージュだ。
きっと前日までに業者を入れて外だけ整えたに違いない。
俺は騙されない。
数々の修羅場を潜り抜けてきた男だ。
空気でわかる。
この一瞬の“気の澱み”。
プロを舐めるな。
さて……チャイムを押すか。
いや待て。
逃げるなら今しかない。
敵は既にどこかからこちらを監視しているに違いない。
指が震える。
押せ。
いや逃げろ。
押せ。
いや帰れ。
脳内会議が紛糾する。
だが俺は男だ。
今さら失うものなど何もない。
もはや高鳴る鼓動を抑えることなどできやしない。
ここで逃げたら、
俺は一生、何かから逃げ続ける人間になる。
俺は逃げない。
ピンポーン。
……押してしまった。
いまならまだピンポンダッシュできる。
その迷いを断ち切るように、
ガチャリと玄関が開く。
するとそこには――
上品なご婦人。
あれ?
迷彩服じゃない。
顔にもカモフラージュペイントなし。
綺麗にお化粧までされている。
だが油断は禁物だ。
挨拶を交わし、
恐る恐る室内を拝見。
気分は匍匐前進。
いざという時はこれで…
右手にホウキだけは離さない。
……綺麗。
え?
ゴミがない。
どこにもない。
俺の見ていた地獄は?
どうやら奥様のお話によると、
単身赴任で10数年ご自宅を離れていた旦那様が、この度定年退職で帰宅されるとの事。
今回のクリーニングは、
長年頑張ってきた旦那様を、
綺麗なお家で迎えたいという奥様からの感謝のプレゼントだったらしい。
なるほど。
だから前日は庭を綺麗に――
と言いかけて慌てて飲み込む。
危ない危ない。
それ、全部俺の妄想だった。
そうと決まれば話は早い。
旦那様が気持ちよく帰宅できるよう、
隅々まで徹底クリーニング開始。
結果、
丸一日かかったものの、
予備日を使うことなく無事完了。
しかも途中、
昼も食べず作業する俺を見かねた奥様が、
おにぎりを握ってくださった。
これがまた沁みるほど美味い。
戦場メシかと思ったら、
完全に愛情メシだった。
こうして無事、
長年働き続けた旦那様を迎えるための、
ピカピカなご自宅が完成。
長年のお勤め、本当にお疲れ様でした。
そして俺の脳内危険センサー。
そろそろ点検に出した方がいいかもしれない。
店長:佐藤 和浩
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