草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年10月22日
ぴあ発行『東京老舗名店』の取材で、柴又・大和家にて天丼 上を撮影した。
ここは松竹宣伝部柴又分室とも呼ばれ、『男はつらいよ』のロケ期には出演者の休息所として使われた店。渥美清もこの天丼 上を好んだという。文章にすれば一行で済む事実だが、皿の前に立つと、その一行の余韻が丼の高さを少しだけ増す。
撮影では、揚げの輪郭を過剰に誇張せず、衣の温度と密度の実在感だけを拾っている。光は澄んだ方向から入れ、油の艶を煽らずに置く。厚みと比重を真面目に写しとること——それが天丼という料理の社会的年齢に対して妥当な距離だと判断した。
渥美清が箸を入れたものと同じ名で供される一椀を、2025年に撮る。
料理撮影は「現在の状態」を記録する仕事だが、この丼に限っては、その事実だけで充分に濃い。
柴又で天丼を撮るとは、熱ではなく「継続」を画面に載せる行為に近い。
店長:平野慎一
料理撮影なら日本フードフォトグラファー協会正会員で間違いなし!
<関東>
埼玉県
千葉県
東京都