草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月15日
横浜・山下町のイタリアン『アクイラウォランス』で、メニュー撮影をさせていただいた。撮影したのは、「牛タンのステーキ」。ひと目見たとき、その佇まいに、どこか緊張感のような静けさを感じた。
分厚くカットされた牛タンは、表面に香ばしい焼き目をまといながら、中心にはしっとりとした柔らかさを残している。ナイフを入れたときのわずかな抵抗と、その奥にあるやさしい弾力。その質感のコントラストが、この料理の魅力を物語っていた。
今回は、ストロボを使ってライティングを組み立て、肉の質感と光の陰影を丁寧に追いかけた。表面のテクスチャ、皿の静けさ、そしてそこにある熱。シンプルな構図だからこそ、細部に宿るニュアンスを逃さぬよう、静かにシャッターを切った。
アクイラウォランスの料理は、どれも控えめで、誇張がない。だが、その奥には確かな技術と、素材に寄り添う感性がある。この牛タンもまた、語りすぎないからこそ、記憶に残る。
食べる時間はほんの一瞬。けれど、その余韻はずっと続いていく。そんな料理と向き合う時間は、写真を撮る者にとっても、かけがえのない経験だった。
店長:平野慎一
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