草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年5月31日
鎌ヶ谷の「FoodyFoody」は、喧噪の外にそっと身を置くような、静謐の気配に包まれたレストランである。光と影がゆるやかに混じり合う昼下がり、その厨房から運ばれてきたのは、一皿のハンバーグだった。
皿の上に鎮座するそれは、あたかも山中にひっそりと咲く古木の花のように、己を誇らず、ただ在る。外皮はわずかに焦げ目を帯び、光を宿した肉汁がその表面をしっとりと覆う。派手な湯気もなければ、切り口もない。けれども、目を凝らせば、確かにそこに「火の記憶」がある。
職人の手が、火と対話しながらそっと呼吸させたのだろう。芯までやわらかく、だが決して弛まず、肉の意志を保ったまま静かに焼き上げられている。無言のうちに放たれる旨みの予感は、言葉よりも深く、五感の奥に沁みてくる。
このハンバーグは、料理というよりひとつの詩である。騒がず、語らず、ただ香りと光沢の向こう側から、確かな余韻を差し出してくる。口にすれば、その一瞬に、時が止まるだろう。
「FoodyFoody」のハンバーグには、幽玄という言葉がよく似合う。食とは、生きることの美しさを見つめる営みであることを、この静かな一皿が思い出させてくれる。
店長:平野慎一
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