草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年5月23日
鳩の巣という地名には、いつもどこか物語の匂いがする。
その名の通り、山に守られ、川に寄り添い、人の気配はやわらかい。
そんな場所にあるカフェ「山鳩」で、ハヤシライスを撮影した。仕事でありながら、どこか私的な記憶に触れる時間だった。
ログハウス調の店内には、薪ストーブの香りがわずかに残り、窓の外には苔むした岩と静かな流れ。時間がゆっくりと、後ろに流れていくような感覚に包まれる。
厨房では、玉ねぎを炒める音が小さく聞こえていた。じっくりと炒めたであろうその甘さが、牛肉の旨みと合わさり、しめじの香りがふわりと立ち上る。ソースはすべて自家製だという。トマトの酸味に、赤ワインのまろみ、ほんのりと香るバター。どこか懐かしくて、でも家庭では出せない、余白のある味だった。
レンズを通して見つめながらも、スプーンを持つ手がつい前のめりになる。温度、香り、湯気の輪郭。五感を使って、じっくりと味わいたくなる一皿。
この店には特別な演出があるわけではない。だけど、料理のひとつひとつが、山の空気と、作る人の静かな誠実さに包まれている。それが、とても心地よい。
ハヤシライスがこんなにも“沁みる”料理だったなんて。
それを思い出させてくれたのが、山のカフェ「山鳩」だった。
店長:平野慎一
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