草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年10月26日
ぴあMOOK「東京老舗名店」のために、台東区根岸の笹乃雪で、コースのうち三品──冷奴・あんかけ豆腐・前菜──を一枚にまとめて撮影した。
元禄四年創業。豆富を拠り所にして三百年を超える時間が積もり、店内は静かな重みを湛えている。
冷奴は、箸を入れた瞬間にその静けさを語り出す。豆の甘みは強く主張せず、淡くとけるように広がる。茗荷や紫蘇、生姜、葱の香りは控えめで、白い本体をそっと支えている印象だ。
つづくあんかけ豆腐は、鰹を土台にした温かいあんに包まれ、辛子を少し溶いてから四つに割って口を寄せる。ふんわりとした口当たりの奥に、出汁のやわらかな旨みがじんわりと残る。湯気や勢いではなく、しずけさの側にある料理だと感じた。
前菜は、彩美しい。
三品を横に並べて撮ると、冷たさと温かさ、そのあいだに置かれた華やぎが、ゆるやかな段差になって画の中に収まる。照明を整えながらファインダーを覗くと、手わざより前に、この店が積み重ねてきた時間そのものが、白のうちに溶け込んでいるように見えた。
また撮りに来たい。味だけでなく、こうした静かな余韻のある皿は、レンズ越しにもう一度確かめたくなる。
店長:平野慎一
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