草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年9月30日
浅草の街角に、明治28年から変わらぬ姿をたたえる老舗 雷門満留賀。暖簾の揺れ、木の床板に響く足音、そしてそっと漂う出汁の香り。ぴあMOOK「東京老舗名店」の取材で、私はカメラを手にこの空気を切り取るべく、店内に足を踏み入れた。
被写体は「天ざるそば」。細く繊細な蕎麦の線が、まるで街の記憶を纏って立ち上がるかのようだ。天ぷらは黄金色の衣をまとい、光を受けて微かな陰影を描く。私は斜め上から光を回し、蕎麦の一本一本と天ぷらの凹凸に息づく立体感を丁寧に拾い上げた。フレーミングは慎重に、器と余白、そして背景の暖簾や木目が呼吸するように構築した。
シャッターを切るたび、レンズ越しに歴史の時間が静かに滲む。職人の手仕事、老舗として守り続けられた佇まい、街のざわめきと共鳴する空気感――それらすべてが、一枚の写真の中でひそやかに息づく。
料理の撮影は、単なる記録ではない。光と影で形を与え、時間の厚みを映し、見た者に老舗の矜持を感じさせる行為である。雷門満留賀の天ざるそばは、その瞬間を最も美しく伝えてくれる存在だった。
店長:平野慎一
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