草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年8月1日
つくばに、歩みを自然とゆるめたくなる料理店がある。「而且(アーチェ)」。薬膳を掲げながらも、それを理屈で語らず、感覚で届けてくる店だ。
今回は、夏季限定の甘味を撮影する機会を得た。店に流れるのは、音楽のようでいて無音に近い空気。忙しなさが入り込む余地はなく、すべてが必要最小限。けれど、そぎ落とされた先にある豊かさに、シャッターを切るたび気づかされる。
撮影では、甘味が纏う静けさや、凛としたたたずまいに焦点を合わせた。光はできるだけ柔らかく、影は濁らせず。器の存在感や質感を損なわぬよう、照明をミリ単位で調整しながら、ひと皿ずつ丁寧に向き合った。
而且の甘味は、単なる「デザート」ではない。食後の余韻というよりは、むしろ一日の終わりに深呼吸をさせてくれるような存在だ。体に負担をかけることなく、ゆっくりと内側をほぐしてくれる。
撮影後も、なにか透明な余韻が残った。写真には写らない空気や静けさ、そして料理のもつ気配のようなもの。それこそが、この店が届けようとしている本質なのだと思う。
薬膳という言葉に先入観をもたないでほしい。整うことは、特別なことではなく、日常に潜むささやかな余白のこと。「而且」には、それをそっと思い出させてくれる力がある。
店長:平野慎一
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