草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年9月6日
佐原の町並みに溶け込むように佇む「オーベルジュ・ド・マノワール吉庭」。庭を渡る風のように静かで、奥ゆかしい気配をまとっている。そこで出会ったのが、コース料理「華 HANA」。私はその一皿一皿を、レンズを通して見つめ、記憶の光として刻んだ。
最初に運ばれるのは、和前菜の三寸盛り。小さな器に宿るのは、季節のきらめき。一口ごとに、山や海の声がかすかに響く。
洋前菜は、鮮魚のマリネと旬の野菜。彩りは花束のようで、皿の上に咲いた庭の景色を覗き込むようだ。その瞬間、カメラのファインダー越しにも、時間がふっと止まる。
温かなスープが続く。その滋味は、心に寄り添うようで、余分な言葉をすべて溶かしてゆく。
そして選べるメイン。鮮魚のポワレは海をまとい、肉料理は大地の力を宿す。どちらも、シェフの手の中で生命の物語へと変わり、皿に結晶する。光を浴びた瞬間、料理は写真の中で呼吸を始めた。
締めくくりは季節のデザート。甘さの中に漂うのは、移ろう季節の余韻。最後の一口が過ぎても、静かな花びらのように心に残る。
「華 HANA」とは名ばかりではない。それは確かに、花が咲くように展開し、やがて余韻を残して散っていく物語だった。佐原の空気に溶け込むこのオーベルジュで、私は料理と光が重なり合う瞬間を撮影した。その一枚一枚に宿るのは、ただの食の記録ではなく、風景の詩である。
店長:平野慎一
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