草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月20日
つくばの緑に抱かれるようにして、ひっそりと佇む薬膳料理店「而且」。扉を開けた瞬間、日常の輪郭がふっと和らぐ。木の香に満ちた静謐な空間は、時間さえもゆるやかに流れているように感じられた。
この日は、夏の料理を撮影するために而且を訪れた。柔らかな自然光が差し込む中、ひと皿、またひと皿と並べられていく料理は、どれも凛とした佇まいを持ち、静かに季節を語っている。その姿をレンズ越しに見つめながら、ただ美しいという以上の、深い調和の気配を感じ取った。
而且の薬膳は、理屈を押し付けるのではなく、そっと寄り添い、心身の奥底にやさしく届いてくる。選び抜かれた旬の素材は、滋味を湛えながら、繊細な調和の中に静かな力を宿している。食べることが、整えることと等しくあるという思想が、すべての皿に息づいていた。
撮影を終えてふとひと息つくと、身体の内側に小さな静けさが灯っているのを感じる。これは、ただの食事ではない。生き方に耳を澄ませるための“間”をくれる場所なのだ。
喧騒を離れ、感覚を澄ませるひとときを求めて。
而且は、そんな願いにそっと応えてくれる、美しい“処方箋”である。
店長:平野慎一
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