草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年10月24日
ぴあ発行『東京老舗名店』の取材で、湯島・鳥つねにて上親子丼を撮影した。
ここの親子丼は、卵でも鶏でもなく、出汁の力で食べさせる一椀だ。
最初の湯気にさえ、骨格のある旨味が静かに滲んでいる。甘さで寄せず、香りで煽らず、澄んだ出汁が底を支え、卵と米をひとつに束ねてくる。強くなく、弱くもない。きちんと芯があって、しかし過剰な主張はない。淡々と正しい温度と密度でまとまっている。
撮影でも、その「静かな本体」を崩さないことを優先した。角を探すより、丼の前にただ座り、出汁の面が落ち着くのを待つ。光は煽らず、艶を立てず、液体の重心をそのまま受け取るように置いた。
軽やかな米料理が増えた東京で、こういう穏やかで軸の通った丼がまだ息をしていることに、正直少しほっとする。技巧より作法、誇張より定常。老舗が守ってきた平熱のうまさが、ここにはそのまま残っている。
店長:平野慎一
料理撮影なら日本フードフォトグラファー協会正会員で間違いなし!
<関東>
埼玉県
千葉県
東京都