草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年8月27日
北千住の街角に、新しい灯りがともった。<洋風居酒屋 イタメシ心技体>。今回、その門出を飾るコース料理の撮影を任された。ファインダー越しに見つめると、料理はただの食事ではなく、この場所が紡ごうとする物語のように感じられた。
第一章を開くのは「和牛のカルパッチョ」。艶やかな赤身が繊細な刃を受け、瑞々しい断面をのぞかせる。光を添えると、その輝きは静かに呼吸をはじめるようで、画面の奥に旨味の気配が広がっていった。まさにこの店の矜持を象徴する一皿である。
「大粒牡蠣ときのこのアヒージョ」は、滋味が重なり合う世界。オイルの金色がテーブルを染め、牡蠣の白い身は大地と海の記憶を秘めているかのようだった。撮影しながら、その存在感にレンズを預ける時間は、心地よい緊張に満ちていた。
「大葉香るきのこのマリネ」は、一転して軽やか。口中を澄んだ風が吹き抜けるようで、次なる皿への架け橋となる。そこから続く「黒トリュフのリゾット ~温玉のせ~」では、ひと粒の黄身がリゾットを優しく包み込み、香りの層に奥行きを与えていた。
さらに黒トリュフとチーズのポテトフライ、滋味あるスープ、そして締めのデザートへ。どの皿も「居酒屋」という言葉を軽やかに飛び越え、豊かで親しみ深い世界を描き出していた。
料理に寄り添い、その魅力を切り取る時間は、私にとっても至福だった。北千住に生まれたこの新しい舞台は、きっと多くの人の記憶に残る食の時間を紡いでいくだろう。
店長:平野慎一
料理撮影なら日本フードフォトグラファー協会正会員で間違いなし!
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