草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年5月30日
静かに、鉄板が目を覚ます。
ゆっくりと広がる熱の上に、職人の手で丸められた牛肉が置かれると、じゅっと小さく音を立てた。
末広町『牛舎』にて、焼きカレーハンバーグの撮影。
ファインダー越しに見つめながら、私はその一皿に宿る「重さ」を感じていた。
粗挽きの和牛に、細挽きの国産牛をわずかに重ねる。8:2という配合は、肉そのものの輪郭を損なわず、奥行きを与えるためのもの。つなぎは極めて少なく、手の温度と力だけでまとめあげられる。成形の過程から、職人の静かな執念がにじむ。
鉄板の上で、肉は音を立てながら身を引き締めていく。
仕上がりはミディアムレア。箸を入れれば、中心にかすかな紅が残り、肉汁が静かにあふれ出す。
そこに重ねられるのが、香味野菜の甘みを溶かし込んだカレーソース。
さらに、ふわりと覆うのはチーズ。とろけ、からまり、すべてを一つに包む。チーズ、ハンバーグ、カレー──どれも主張がありながら、互いを打ち消すことなく響き合う。
湯気がゆらぐ。香りが立ちのぼる。
一枚の写真では到底伝えきれない、密やかな情熱と秩序がこの皿にはある。
静かな午後、鉄と火が生んだ牛の物語を、そっと記録した。
末広町の一隅にて。
店長:平野慎一
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