草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月6日
ハンバーグという料理は、ときに記憶を揺さぶる。
それは家庭の食卓のぬくもりであり、洋食屋のごちそうであり、子どもの頃の“特別な日”の象徴だったりもする。だからこそ、今さら驚くことなんて、もうないと思っていた。
だが、横浜・山下町のイタリアン「AQUILA VOLANS」で出会った一皿は、そんな思い込みをすっとほどいてくれた。
ナイフを入れた瞬間にわかる、心地よい弾力。肉汁がにじむが、あくまで静かに。
あの“ドバッ”とした演出とは無縁で、むしろ慎ましいほどだ。
口に運べば、どこか懐かしく、それでいて明らかに違う。
素材の良さに頼るだけではない、技術と想像力に裏打ちされた味。
ほどよく優しく、けれど輪郭はしっかりと。ひと噛みごとに、その丁寧さが伝わってくる。
決して主張は強くない。
けれど、横に添えられた「オニオングレイビーソース」と出会ったとき、このハンバーグの真価が立ち上がる。
香ばしく炒めた玉ねぎの甘み、肉の旨味が重なる深い味わい。
シンプルに見えて、奥行きのある設計。そう、「計算された日常」とでも言いたくなるような完成度だ。
派手ではないが、記憶に残る。
ランチであることを忘れそうになる、静かな感動がそこにはあった。
店長:平野慎一
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