草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年9月27日
人形町の大通りに、ひっそりと息づく老舗「初音」。創業は天保の頃、江戸の記憶を胸に、いまも静かに暖簾を掲げる。
撮影させていただいたのは、白玉クリームあんみつ。器の中で、北の大地・十勝の小豆が艶めき、南の島々から届いた黒糖が黒蜜となって深みを添える。小笠原の海が生んだ天草は、澄んだ寒天へと姿を変え、その透明さはまるで海の記憶を閉じ込めた結晶のよう。
白玉は月のしずくのように柔らかく、冷たいアイスは甘やかな風を運ぶ。ひと匙ごとに、北から南へ、そして時代を越えた旅路が口の中で広がる。
現在の店構えは昭和38年に建てられたもの。木の香を宿す柱や窓枠は、来し方を知る者だけが纏える柔らかな風格を湛えている。
シャッターを切るその瞬間、レンズの奥には、甘味そのものが語る詩があった。それは単なる和菓子ではなく、風土と人の手と時間が織りなす、ひとつの叙事詩。
人形町に流れる時を味わうように、「初音」の白玉クリームあんみつは、静かに、しかし確かに、東京の甘味の原点を語り継いでいる。
店長:平野慎一
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