草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年10月31日
sports cafe & bar GANDY――その名の響きに、どこか異国の風が混じる。だが、供される料理には、確かに土地の息遣いがあった。撮影を任されたランチメニューの「越谷カレー」も、そのひと皿である。
カレーの色は、深い琥珀。鴨肉が静かに沈み、脂の縁だけがほのかに光を返す。照明はすべてストロボ。光を一滴ずつ垂らすように調整し、艶を拾い、影をなだめていく。自然光では掬いきれない密度を求めて、わずかな角度を探る。ルーの表層に生まれる微かな反射は、まるで時間の残り香のようだ。
鴨の香りには、滋味がある。野趣を抑えながら、確かな輪郭を持つ。スパイスの香立ちは華やかというより端正で、口にすれば、旨みが層をなして広がる。辛味と甘味が拮抗し、やがてひとつの調和に至る。派手さよりも、静かな説得力。料理というより、風景を食べているような感覚になる。
撮影を終えてモニターに映る画像を見返すと、そこには一皿を越えた“土地の記憶”が滲んでいた。越谷という地名を冠したカレーは、単なる名付け以上の意味を持つ。地の食材と人の手が、丁寧に編み込まれている。
GANDYの「越谷カレー」は、スポーツバーという枠を軽やかに超えて、街に新しい物語を添えている。
光と香りと、鴨の余韻。そのすべてが、写真の奥に静かに息づいていた。
店長:平野慎一
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