草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年4月17日
古民家の軒先から差し込む春の光が、磨き込まれた床にやわらかく反射していた。
ここは佐原、「オーベルジュ ド マノワール吉庭」。手入れの行き届いた日本庭園を眺めながら、ゆったりとランチを楽しめる一軒だ。撮影で訪れたこの日、シャッターを切るたびに感じたのは、料理や空間が放つ“余白”の美しさだった。
建物は、かつての古民家。だが、単なる懐古では終わらない。梁や柱の存在感はそのままに、椅子や照明、壁の質感にはモダンな静けさが宿る。古き良き日本の温もりと、現代的な洗練が同居している。
窓の外には、手間ひまかけて築かれた庭。苔の緑、枝垂れる枝、咲き始めた花。どこを切り取っても画になる。静けさが、味覚までも研ぎ澄ませてくれるようだ。
この日のランチは、地元の旬を取り入れたパスタコース。タスマニアサーモンのマリネは、新玉ねぎの甘さと絶妙に絡み、ハマグリと菜の花のペペロンチーノは、海の旨味と春の香りをひと皿に閉じ込めていた。どの料理も、見た目に派手さはないが、口に含めば確かな記憶を残してくる。
吉庭での昼食は、“食べる”というより“味わう”時間だ。料理も空間も、決して急かさない。次の皿までの間に、ただ庭を眺めていられる。そんな余白のある昼が、なんとも贅沢に感じられた。
店長:平野慎一
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