草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年4月28日
武蔵野の風情を残す小平の地に、ひっそりと暖簾を掲げる「大衆酒場 新参者」。格式張らぬ名の下に、料理と空間に宿る矜持が確かに息づいている。今回、同店よりメニュー撮影の依頼を賜り、撮影者としての眼差しを注ぐ機会を得た。
対象は、看板料理の一つである手羽先。単なる庶民の肴と侮ることなかれ。その佇まいには、食材と技が結晶した美意識が滲む。調理の果てに立ち現れたその一皿を、いかに写真という静の表現で捉えるか——それが本撮影の要諦であった。
照明設計は一灯一灯に意図を持たせ、表皮の揚げ色、タレの重厚な光沢、焦げ目の陰影に至るまで、計算されたコントラストをもって立体感を際立たせた。器は質素ながら料理を引き立てる脇役として機能し、構図は過剰を避け、潔さの中に力強さを宿す。
撮影後、料理人より少量を試食させていただいたが、ひと口にしてその深みが理解できた。外側は軽やかな歯触りを残しつつ、内には旨味を湛えた熱が脈打つ。甘辛のタレは決して派手ではないが、舌の奥で静かに余韻を奏でる。まさに“手羽先”という言葉の持つ印象を一段階昇華させる味わいである。
大衆とはすなわち日常の真実。その中に潜む本物を、光とレンズで写し取ること。それは記録にとどまらず、ある種の敬意であると感じさせられた撮影となった。
店長:平野慎一
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