草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月8日
北千住。喧騒と暮らしが交錯するこの街に、ひとつの静けさが立ち上がった。新たに姿を見せた「おさかな心技体酒場」のコース料理。その全貌を、私は一枚一枚、静かに記録していった。
皿の中心に据えられていたのは、艶やかなローストビーフ。赤と焦げ目のあわいが、深く呼吸をするように柔らかく、控えめな照りが品よく灯る。盛られた姿に過不足はなく、どこにも声高な主張がない。その佇まいは、技術と経験と、ほんの少しの詩情で成り立っていた。
そして、ちらし寿司の一皿に、ふと時間が止まる。マグロ、アジ、イクラ。それぞれが静かに語りかけてくる。色も形も尖ることなく、ただ自然に、しかし確かな存在感を放っている。まるで庭に咲いた花のように、手を加えすぎることなく、整いすぎることもなく、美しい。
この日撮影したのは、税込5,000円のコース料理。前菜、煮物、揚げ物、だし巻き、デザート、そして飲み放題。内容だけを並べれば賑やかだが、ひとつひとつに過度な演出はない。ただ、皿に静かな手が入っている。それだけで、十分に豊かだと感じられた。
撮るという行為の先に、料理人の意志が見える時がある。語られずとも伝わるものが、確かにこの一連の料理には宿っていた。
夜が始まる前の静かな時間、北千住にそんな余白が生まれていた。
店長:平野慎一
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