草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月4日
佐原の閑雅な空気に抱かれる「オーベルジュ ド マノワール吉庭」。このたび撮影したのは、春を告げる一杯――成東産苺のスパークリングワインである。
グラスの底には、急速冷凍した苺を繊細に削り、ほのかな朱の層として沈める。その上に丸ごとの苺が惜しげもなく重ねられ、果実の気配が溢れるような、豊潤な佇まいを見せる。冷たさと艶が共存するその姿は、まるで静寂の中に咲く花のようだ。
撮影は自然光を用いず、丁寧に設えたライティングで行った。柔らかな光で果皮の輝きを引き出し、グラスの透明感と奥行きを際立たせる。赤の濃淡、氷片のきらめき、ガラスの曲線――どこを切り取っても、静謐な美しさが宿っていた。
口に含めば、泡がそっと果実を揺らす。香りが立ち上がり、苺本来の甘みと酸味がふくよかに広がる。気泡の刺激が味わいに陰影を与え、甘さに頼らない洗練を感じさせる。華やかさの奥に、芯の通った静かな余韻がある。
グラスの中に季節を封じ込めたかのような一杯。可憐でありながら、どこか凛とした気品を纏う。春の午後にふさわしい演出であり、レンズ越しにもその優雅さは確かに息づいていた。
ただ撮るだけでは届かない、記憶に残る一瞬。吉庭の苺スパークリングには、そんな力があった。
店長:平野慎一
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