草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月10日
シャッターを切る前から確信する。「これは、来る」と。
今回の被写体は「焼肉ホルモンたけ田」が放つ最新作、肉寿司。だが、既存のイメージとはまるで違う。海苔ではなく、生肉でシャリを巻いた軍艦スタイル。しっとりとした艶を放つ赤身がふわりと包み、トップにはカニのほぐし身と、まさにこぼれ落ちんばかりのイクラが山盛りに。眺めているだけで、高鳴る。
撮影は店内の静寂が戻る深夜。ネタケースから取り出された生肉は、柔らかく光を受けて美しく輝く。その繊細な繊維感を映し出すため、ライティングはあえて一灯。イクラの橙、シャリの白、そして肉の深紅——三色がぶつかるのではなく、調和するよう構図を整える。
黒皿の上、イクラが溢れている。意図的に散らしたのではない、盛りすぎた結果の“必然”。それが写真に躍動感を与える。カニの身は繊細にほぐれ、ふわっと立ち上がる。どの瞬間を切り取るかは、ほぐれの“密度”との駆け引きだ。
シャリの存在感も決して侮れない。白く端正な佇まいは、濃厚な赤と橙を支える静かな主役だ。
この一貫には、生肉の官能と海の豪奢が同居している。
カメラはそれを記録する道具ではなく、“欲望”を描く筆になる。
撮影というより、咀嚼するようにシャッターを押す時間だった。
味覚に届く前に、すでに満たされる。これが、“撮るグルメ”の醍醐味だ。
店長:平野慎一
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