草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年6月23日
水郷の町・佐原。その風情ある町並みにしっとりと溶け込むように佇む料理屋「吉庭」にて、メニュー撮影のひとときをいただいた。
今回、カメラの前に置かれたのは「房総ポークの赤ワイン煮」。皿に広がる深紅のソース、その中にそっと身を沈めた肉の輪郭には、すでに静謐な時間が宿っている。ナイフなど不要、フォークでふれると優しくほぐれ、まるで絹を裂くかのような口当たり。火入れの妙と、素材への敬意が、ひと口ごとに伝わってくる。
脂身はことのほか清らかで、甘やかに香る。その滋味は重さとは無縁で、赤ワインの酸味と溶け合いながら、口中に豊かな余韻を残す。誇張のない味わいこそ、料理人の確かな技と美意識の証だろう。
レンズ越しにこの一皿を捉えるたび、ただの“記録”ではなく、“記憶”として残るべき料理に出会ったのだという実感があった。吉庭の空間には、時間の流れさえ緩やかに感じられる気品がある。
赤の深みが心を解き、滋味が静かに沁みてゆく。そんな、優雅で満ち足りた午後の撮影だった。
店長:平野慎一
料理撮影なら日本フードフォトグラファー協会正会員で間違いなし!
<関東>
埼玉県
千葉県
東京都