草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年5月28日
煙の向こうに、ひと皿の静謐
焼肉ホルモンたけ田。その厨房の片隅で、カルビが焼かれていく様子を、そっと見守るように撮影した。
鉄網の上にそっと置かれた肉が、静かに音を立て始める。じゅわ、という熱の気配が、やがて香りとなって立ちのぼり、煙がやさしく揺れる。湯気とも違う、脂と熱の交わる蒸気が、空気をほんのわずかに震わせる。
光は斜め上から落とし、肉の輪郭にやわらかな陰影を描く。脂がゆっくりと溶け、照りが増していく様子を、レンズは静かに追いかける。どの瞬間も、声をかけてはならないような、集中した空気が漂っていた。
たけ田の焼肉は、にぎやかで、そしてどこか静かな料理だ。焼く人の手元、立ち上がる香り、そのすべてが美味しさのために整えられている。喧騒の中にある静けさ──そんな言葉が、ふと浮かんだ。
一枚の肉が焼ける、そのわずかな時間に込められた丁寧さを、写真に閉じ込める。激しさではなく、静けさの中にある力強さを、感じながら。
店長:平野慎一
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