草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年11月19日
先日発売された『はじめてのメスカルの教科書』(誠文堂新光社)のために、メスカルを使ったカクテルの撮影を行った。数あるレシピの中で、「メスカリータ」はひときわ気品をまとった存在だった。静かに佇みながら、どこか凛として、ひと息の余白まで美しく感じさせる。メスカルをベースにしたマルガリータ――その端正な姿を前にすると、言葉よりも光のほうが雄弁だ。
グラスの縁にそっと施されたグサノソルトは、まるで細かな宝石のように光を返す。ストロボを当てると、粒がきらりと瞬き、液面のやわらかな陰影と重なって、繊細なレイヤーを描いていく。その魅力をひと粒も取りこぼさぬよう、アングルを少しずつ変え、光の角度を探る。そうして浮かび上がるのは、ただの“カクテルの写真”ではなく、香りや余韻までも含んだ静謐な情景だ。
ライムの清らかな酸が一筋の光のように走り抜け、メスカルの土を思わせる芳香と溶け合う。その構えは華美ではないが、静かな高貴さがある。氷がグラスに触れる音さえ、こちらの集中をそっと助けるように澄んで響く。そこに生まれる緊張感は、料理撮影の瞬間ならではのものだ。
メキシコの陽光を引き寄せる必要はない。むしろ、スタジオの透明な光が、メスカルの奥ゆかしい表情を瑞々しく照らしてくれる。グサノソルトのほのかな赤み、液色の深い呼吸、そのすべてが調和し、一杯の中に静かなドラマを宿す。
ページをめくる読者の目に、この美しい瞬間がそっと届くように――そんな想いを胸に、シャッターを切った。
店長:平野慎一
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