草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年7月11日
本日から佐原の町に、年に一度の熱が満ちる。大祭の足音が、古い町並みにじんわりと染み込むころ。静かに、その幕開けを告げる準備が進んでいる。
吉庭の店内で、ひっそりとした撮影が行われる。磨かれた木のテーブルに並ぶのは、特別に仕立てられた二皿。クロックムッシュと、唐揚げとフライドポテトの盛り合わせ。どちらも屋台で供されるとは思えぬ、しなやかな佇まいをしている。
クロックムッシュは、火入れの加減が見事。とろけたチーズが静かに崩れ、パンの焦げ目が芳ばしさを語る。ハムとベシャメルが重なり合い、その断面にはどこか詩のような余白がある。まるで時がとけ込んだような、深い静けさが漂う。
向かいの皿では、唐揚げとポテトが微かな湯気をまとい、淡く香る。吉庭のソースがほんのりと光り、甘さと酸味が混ざり合っては消えていく。派手さはなくとも、どこか心を撫でるような余韻が残る。
ふた皿のあいだに生まれる間合いが、まるで音のない音楽のように広がっていく。撮影という行為が、記録ではなく祈りのように感じられる瞬間がある。この料理が、明日から祭りの通りに姿を現す。
それは喧騒の中の静寂。
吉庭が町にそっと放つ、一つの幽かな風である。
店長:平野慎一
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