草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年3月13日
麻布十番の暗闇坂、その名の通り静寂に包まれた一角に、洗練された佇まいの焼鳥店「焼鳥ひなた」は存在する。ここは単なる焼鳥店ではなく、職人の技と炭火の妙が交差する、美食の舞台とも言うべき空間だ。今回、この名店にてメニュー撮影を行う機会を得た。
撮影の主題は、炭火の炎が生み出す焼きの瞬間。その技術の核心は「遠火の強火」にある。直火で急激に焼き上げるのではなく、熱を均等に行き渡らせながらじっくりと仕上げることで、鶏肉本来の旨味を最大限に引き出す。この火入れの妙こそが、「焼鳥ひなた」の真髄であると感じた。
職人の手さばきには、一切の迷いがない。串に打たれた鶏肉は、緻密な計算のもとに配置され、炭火の上で絶妙な間隔を保ちながら回転される。微細な火加減の調整を重ね、皮はパリッと香ばしく、肉の内部には豊潤な肉汁を閉じ込める。その様子をファインダー越しに捉えたとき、単なる調理を超えた、ひとつの「技芸」に立ち会っているような感覚を覚えた。
炭火が放つ赤々とした輝き、立ち昇る白煙、焼き目がついた瞬間に弾ける肉汁——すべてが一枚の写真の中に凝縮されるよう、シャッターを切る。その過程で、焼き鳥という料理の奥深さと、この店の持つ静謐な美意識を改めて実感した。
「焼鳥ひなた」は、まさに大人のための隠れ家だ。洗練された和の空間の中で、丹念に焼き上げられた一本の串を味わう。その背後には、熟練の技と、火を操る者の矜持がある。撮影を通じ、この店の魅力を少しでも伝えられたのなら幸いである。
店長:平野慎一
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