草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年5月24日
大森駅から少し歩いた静かな裏通りに、その店はある。「肉和食Den」。肩肘張らない外観に反し、料理の緻密さは際立つ。今回カメラを向けたのは、「焼鳥 日本酒ペアリングコース」より一品。ささみ梅肉わさび添え、手羽先、地鶏モモ肉、そして白レバー。いずれも備長炭でじっくりと焼かれた、潔く研ぎ澄まされた串たちだ。
撮影において、最も神経を使ったのは「焼き加減の輪郭」だった。焦げの一歩手前、脂がはぜる直前。火と肉の間に生まれるそのわずかな“間”を、どう画に落とし込むかが鍵となる。質感と温度のバランスをどう描くか。照明は料理の持つ情報を削りすぎず、かといって語りすぎない光量に調整。プロの視点では、料理の「魅せすぎ」は逆効果になる。
特に白レバーの光沢、手羽先の皮の収縮、モモ肉の肉繊維に滲む脂。これらはタイミングを誤れば、質感が死ぬ。料理人と目配せをしながら、焼き上がりから盛り付け、撮影までの時間を最短化。その連携は、もはや即興の舞台に近い。
この店の魅力は、焼きの技術だけではない。厳選された和牛や地鶏の質、日本酒との繊細な組み合わせも光る。だが今回の撮影では、あえて全体像ではなく“ひと皿”に的を絞った。映すべきは味ではない。味を想起させる映像の密度だ。
一皿に宿る熱量と静けさ。その両方をどう写すか。シャッターのたびに問われるのは、カメラマンとしての覚悟そのものだ。
店長:平野慎一
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