草加市のラ・クレアシオンのブログ
2025年7月16日
六本木の「月灯花」にて、メニュー撮影の機会を得た。撮影したのは、お造り五点盛り。まるで静謐な海の詩を、器のうえに結晶させたような一皿であった。
白磁の皿に、音もなく置かれた鯛。その身を箸でそっと持ち上げたとき、まるで月の光を透かしたかのような艶が浮かび上がる。儚くも確かな生命の残響が、ファインダー越しに伝わってくる。
隣には深紅の鮪。重たく静かに、海の深層を語るような存在感。ウニは黄金の霞のごとく、溶けてゆく旨味を内に秘める。タコの肌は潮騒を思わせ、滑らかさの奥に力を宿していた。
どれもが、ただ切り分けられただけではない。刃が語り、手が祈り、盛りつけが空間を整える。その沈黙の技が、凛とした気配となって一皿に宿っている。
撮影という営みは、時に料理の内奥に触れる儀式でもある。鯛を持ち上げた瞬間、空気がすっと変わった。被写体はただの料理ではなく、ひとつの静かな詩情となっていた。
「月灯花」。その名の通り、夜に咲く光の花のように、幽けき美しさが漂っていた。去り際、ふと振り返った店内には、まだ海の余韻がたしかに揺れていた。
店長:平野慎一
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