上尾市の出張撮影カメラマンあおやぎのブログ
2023年6月11日
赤ちゃんが生まれて、一般的に男の子は生後31日目、女の子は生後32日目に行うのが、お宮参り(初宮参り)です。氏神様に無事に生まれたことを報告し、健やかに成長していけるように祈願する儀式です。
一方、赤ちゃんが生まれて100日前後に行われるのが、お食い初めの儀式です。赤ちゃんの体調もあるし、31日(32日)も、100日も、地方によってさまざまで厳格ではなく、しかも最近は、お宮参りとお食い初めをいっしょにやる家族もたくさんいます。
お食い初めは、鯛や煮物や赤飯を箸で食べさせる真似をして、一生食べ物に困らないようにと願う儀式です。そして最後に「歯が丈夫になるように」との願いを込めて、箸でちょんちょんと石をつついて、赤ちゃんの口元へ持っていきます。
この石を「歯固めの石」と言いますが、お宮参りをした神社でもらうこともありますが、自分で境内から拾って使う人もいます。使い終わったら神社に納めます。(越谷香取神社や七社神社の歯固め石納所など)
歯固め石を使うのは、てっきり全国的な話なのかなと思っていたら、関西ふうでは、歯固め石の代わりに、茹でタコを使うことを知ってびっくりしたことがあります。
食文化などでも、関東、関西が違ったりするので、お食い初め儀式でも東西差があっても不思議ではないのですが。
石の代わりにタコを使うのは、「タコはなかなか噛み切れないので歯が丈夫になる」という理由もあるそうです。あとは「多幸」のごろ合わせからという説もあるようです。
そして石の代わりになるものとして、タコ以外にも、アワビ、クリ、紅白モチを使う地域もあるそうです。そうなってくると、必ずしも「石」を使わないということになります。
むしろ、堅いモチがオリジナルではないかともいわれています。正月初めに、歯を丈夫にするために堅いものを食べて長寿を願う風習があったようです。
『世界大百科事典 第2版』にはこのようにあります。
「歯固め」とは、「正月初めに堅いものを食べて歯をじょうぶにし,長寿を願うこと。歯固めの歯は元来〈齢(よわい)〉のことで,齢を固めて新たに生まれ変わるところにこの風習の意味があった。古く,中国の《荆楚歳時記》には,年頭に膠牙餳(こうがとう)という堅いあめを食べる風習が記されている。日本にも古くこの風が伝わり,歯固めの具としてさまざまなものが用いられた。たとえば,平安時代の貴族社会では押鮎,鹿肉,大根などが用いられ,のちに鏡餅(古くは餅鏡(もちいかがみ)といった)も歯固めの具とされるようになった。」
じゃぁ、歯固めに用いられたという鏡餅とはなんなんでしょうか? 吉野裕子著『蛇―日本の蛇信仰』にはこんな説が載っていました。
まず「鏡餅」の「鏡」ですが、これは蛇を表す古語「カガ」、蛇目「カガメ」、蛇身「カガミ」で、鏡餅はとぐろを巻いた蛇の姿を模したもの、祖霊、歳神であって、これは延命・長寿を祈願する蛇信仰からきているのでは?という。形が丸かったところから「カガ(ミ)」は「鏡」に解釈されて変わったのではないか、というんですね。もともとは蛇神の依り代。
そのカガミ餅を正月に食べて(というより本来は見ることが大切だったようですが)、延命祈願・長寿を祝うという風習が、やがて産育習俗と結びついたのが「お食い初め儀式」のなかの「歯固めの儀式」なのかもしれません。
もともとは餅を食べる(見る)儀式であって、「歯固め」と呼ばれたところから、「硬さ」と「歯」との関連から石を使うようになった、ということでしょうか。いろんなものが歯固めの具として用いられたとのことで、いきついたところは、一番堅い「石」になったのかもしれません。
店長:青柳健二
プロのカメラマンとして撮影歴は30年。愛犬と暮らすカメラマンが、一眼レフカメラと犬笛を持ってお伺いします。
<関東>
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県