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柏崎市のFINE HOMEのブログ

随筆・短歌『赤とんぼの午後』

2025年10月22日

随筆・短歌
『赤とんぼの午後』

 午後の陽が、斜面の草を黄金色に染めていた。川沿いの土手には、草刈りを終えた跡がまっすぐに続いている。地面はまだ温かく、刈られた草の香りが風に混じって漂う。その匂いの中を、赤とんぼたちが音もなく飛んでいた。

 さっきまで唸っていた草刈り機の音は、もうどこにもない。代わりに聞こえるのは、風がススキを撫でる音と、遠くの水音だけ。夏草の勢いを失った秋の土手は、静かな呼吸を取り戻していた。刈られたばかりの草の断面には、淡い緑がまだ残っている。その上に、陽が射すたび、きらきらと微かな水滴が光った。

 空は澄みきって高く、雲が薄くのびている。
赤とんぼたちは、風に身をまかせながら、上へ、下へと揺れた。ひとつ、ふたつ、三つ、影が地面をかすめて通り過ぎる。それはまるで、空と地面のあいだを行き来する記憶のようだった。

 一本だけ残されたセイタカアワダチソウの茎が、風にしなりながら立っている。刈り残されたその周囲に、赤とんぼが数匹止まって羽を震わせた。草の切り口が風にさらされ、青臭さが抜けていく。秋の光は、時間をゆっくりとほどいていくように、すべてを柔らかく包んでいた。

 土手の下では、刈られた草が一か所に集められている。そこに赤とんぼが群れを成して降り立つ。淡い風が吹き抜けるたび、乾いた草の間から細かな種が舞い上がり、空へ昇る光の粒のようにきらめいた。草の命が土へ帰る前の、ほんの一瞬の輝き。

 遠くで誰かの声がしたような気がした。けれどそれは風の音かもしれない。人の姿はもうない。ただ、刈り終えた地面と、赤とんぼの影だけが残っている。

 日が傾くにつれ、草の色が深まっていく。刈られた斜面の曲線は、まるで誰かの手の跡のように滑らかで、そこに赤とんぼの影が斜めに伸びていた。風に煽られたススキの穂が、一瞬だけ強く揺れ、その穂先に夕陽があたって、燃えるような橙色に光る。

 やがて陽が沈み、風が冷たくなる。赤とんぼの群れは静かに上流へ向かい、空の高みに溶けていった。土手には再び、静けさだけが残る。
刈り取られた草の匂いと、遠いエンジンの名残が、秋の空気の中にかすかに漂いながら、ゆっくりと夜の色に飲み込まれていった。



一、
刈り終えし 草の匂いに 風渡り
  赤とんぼ舞う 土手のひかりよ

二、
音止みて 機械の余熱 まだ残る
  静けさだけが 働きを詠む

三、
陽を受けて 草の切り口 透きとおり
  翅(はね)の影さえ 秋を映せり

四、
群れ飛びて 風にたゆたう 赤とんぼ
  刈りし命の 上を巡れる

五、
夕まぐれ 香の残り火を 風が撫で
  誰もいぬ丘に 影だけが舞う

店舗情報

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店長:五十嵐 健太

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