渋谷区の株式会社トシ・ランドスケープのブログ
2024年12月10日
都市の景観を美しくし、災害時の安全性を高めるために、全国で無電柱化が進んでいます。無電柱化とは、電柱や電線を地中に埋めることで街並みをすっきりとさせる取り組みですが、地中に電線を埋める際に掘削作業が必要となり、街路樹などの樹木に影響を与える可能性があります。
この問題に対処するため、工事による樹木への影響を最小限に抑える重要な作業が「根系試掘」です。この記事では、根系試掘の役割や必要性、そして具体的な方法についてわかりやすく解説します。
無電柱化による樹木への影響
無電柱化は、都市景観を向上させ、災害リスクを減らす効果があります。しかし、工事による以下のような影響が樹木に及ぶ可能性があります。
根の切断のリスク
掘削作業によって樹木の根が切断される可能性があり、特に地表付近に根を張る樹木には大きな負担となります。
土壌環境の変化
埋め戻し工事によって土壌の状態が変化し、樹木の健康や成長に影響を与える場合があります。
根系試掘が果たす役割
根系試掘とは、工事前に樹木の根の状態を調査する作業です。この調査には、以下のような重要な目的があります。
樹木の状態を把握する
根の広がりや健康状態を確認することで、工事が樹木に与える影響を事前に把握できます。
工事計画の見直し
調査結果をもとに掘削範囲や工事方法を調整し、手掘りや専用機器の使用などで樹木への影響を軽減します。
樹木保全策の提案
必要に応じて土壌の改良や保護カバーの設置など、樹木を守る具体的な対策を計画します。
移植が必要な場合の判断
根の状態を詳しく調査することで、樹木を移植する際の適性や方法を判断します。これにより、移植後の樹木の成長を助けることができます。
根系試掘の具体的な流れ
無電柱化工事に伴う根系試掘は、以下の手順で行われます。
事前調査
工事エリアの樹木を選定し、樹木医が調査計画を立てます。
試掘作業
エアツールや手掘りを使い、慎重に掘削して根の状態を確認します。
調査結果の評価
根の広がりや健康状態を診断し、工事計画や樹木保全のためのデータをまとめます。
工事計画への反映
調査結果に基づいて掘削方法や工期を見直し、樹木を守るための措置を実施します。
持続可能な街づくりを目指して
無電柱化は、美しい都市景観を作り、防災面でも大きな利点があります。しかし、地域の緑を守ることも忘れてはなりません。樹木医の専門知識を活用した根系試掘により、工事と樹木保全の両立が可能となります。また、樹木を適切に移植する計画を進めることで、都市の緑を次世代に引き継ぐことができます。
私たちは、安心で快適な都市づくりを支援するため、樹木保全に関するさまざまなサポートを行っています。街路樹診断協会への加入を通じて最新の知識を取り入れ、環境と景観の維持・向上に向けた最適な提案をお届けします。
店長:中村雅俊
個人邸の庭木の手入れ、マンションの植栽管理を、丁寧な仕事とわかりやすい説明を心がけています
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